
『USB』
桜が舞い散る映像美の豊かなポエジーと、現代日本の知られざる裏社会を鮮烈に映し出したハードボイルドの融合。そして、出口なしの状況で蠢くひとりの青年がたどる哀しい運命を描く。キャストには、奥監督の才能に惹かれた、桃井かおり、大森南朋、大杉漣、峯田和伸、野田秀樹など、豪華な面々が集結。
美しさと、哀しみと――。
『USB』は、奥秀太郎の最初の集大成と言えるだろう。
森 直人(映画評論家)
言 葉 / PIECE
最初、『USB』というタイトルを聞いてデバイスのほうを思い浮かべたが、《Under the SAKURA Blossom》という意味も含まれていると、奥秀太郎監督が説明してくれた。確かに、桜は劇中で重要な意味をもって描かれる。
奥監督が、撮りためていた桜のアーカイブ映像を僕に見せ、「このふたりの映画を撮りたいんだ」と、桜の木の下にちいさく映っているカップルを指さした。だから、映画の最後、桜のシーンに映っているのは僕ではない。この桜の映像から逆算して、あの人物が僕に見えるよう、主人公のキャラクターを組み立て、撮影を行った。
ベルリン国際映画祭で出会った桃井かおりさんを筆頭に、ジャンルを越えた素晴らしい配役が実現し、彼らの忙しいスケジュールを縫うため、2007年から断続的に1年間ほど撮影が続いた。毎回、忘れたころに撮影の連絡がくる。
奥監督は、『カインの末裔』『USB』、もう1作撮って《三部作》にするという構想を話していた。三部作を締め括る映画の撮影は、いつ始まるだろう?また忘れたころに、連絡がくるかもしれない。

『USB』
監督 / 奥 秀太郎
出 演 / CAST
祐一郎 / 渡辺一志
母 / 桃井かおり
樫 田 / 大森南朋
甲 斐 / 峯田和伸
恵 子 / 小野まりえ
大 橋 / 大杉漣
藤 森 / 野田秀樹
配給 / NEGA / 95分 / 2009