映画『キャプテントキオ』のポスタービジュアル
35mm 96min 2007

キャプテントキオ

西暦200X年、廃墟と化した東京都を舞台に、夢と情熱を燃やす若者たちの姿を描いたアナーキーでクレイジーな青春映画。アニメ『北斗の拳』ばりに絶叫するナレーションを、オリジンである千葉繁氏が担当。

解説 Roots

『キャプテントキオ』は、もともとは『19』の次回作として準備していた作品だった。キャストもすべて決まっていたが、当時は実現に至らず、2004年『スペースポリス』を先に完成させた。

2006年、新たなチーム体制で、北九州の門司競輪場跡地にセットを組み、1カ月のオールロケーション撮影。ともにチームを率いた小澤俊晴プロデューサーと、幾度もピンチをのりこえ、映画をかたちにした。

映画制作を通して、小澤プロデューサーの《表裏比興の者》と言うべきタフな交渉術を間近で見させてもらったことが、いまの自分のものづくりの血肉となっている。

どんなに大喧嘩しても、打合わせ終わりに必ず食事に誘ってくれて、酔って上機嫌になった小澤さんが、映画の話をするのが大好きだった。

言葉 Piece

『キャプテントキオ』は、自伝的な映画だ。

映画監督を目指す主人公の《フルタ》は、少年時代の僕だ。僕が演じた《映画屋》は、青年時代(当時)の僕。映画の中で、ふたりの自分が対話をしている。

もうひとつ《未来の自分》の姿として、かつて俳優だった老人と、映画をプロパガンダとして利用する東京都の支配者、ふたりのキャラクターに分岐して登場させた。もうすぐ僕も、彼らの年齢に近づく。

この映画を撮り終えたとき、僕はちょうど30歳。

『カインの末裔』と『キャプテントキオ』は、2007年2月、ほぼ同時に公開。モニュメントのような映画製作と主演映画の公開を終え、僕は『あしたのジョー』でいう《真っ白な灰》の状態となっていた。

追悼 R.I.P.

石立鉄男

2007年、老人役の石立鉄男さんが亡くなる。

世捨て人だった老人が、挫折した少年を奮い立たせるため、かつて俳優だったことを明かすシーンを、石立さんはいたく気に入っていた。

撮影前日、セットを確認しにやってきて、熱心に動きを確認していたことを覚えている。劇中で使用していたパイプは石立さんの私物で、セットの隅でいつもぷかぷか煙をくゆらせていた。最後に少年に紅茶をふるまうのは、石立さんのアイデア。

「いつか熱海へ遊びにきなさい。一緒に酒を飲もう」と、クランクアップの日、わざわざごつい手袋をぬいで握手をしてくれた。

この約束は果たせなかった。石立さんの手のひらは、無骨であたたかかった。

PANTA

2023年、音楽を担当したPANTAさんが亡くなる。

頭脳警察の攻撃的なイメージとは真逆の、明るく朗らかな人柄で、いろんなアイデアを柔軟にかたちにしてくれる人だった。

劇中歌を僕が作詞、PANTAさんが作曲、泉谷しげるさんが歌った。

ビクタースタジオでの音楽作業のとき、歌入れのためにやってきた泉谷さんと一緒に、3人でおすすめ映画のVHSを空き時間で回しあったり、本当にたのしかった。

いつも突然、「元気にしてるか?」と、電話がかかってきた。いまでもPANTAさんからかかってきそうで、電話番号は消していない。


キャプテントキオ

監督・脚本 / 渡辺一志 プロデューサー / 小澤俊晴
音楽 / PANTA(頭脳警察) 主題歌 / 髭 HiGE「ドーナツに死す」

フルタ

ウエンツ瑛士

ニッタ

中尾明慶

アロハ

いしだ壱成

署長

日村勇紀(バナナマン)

モヒカン

渋川清彦

映画屋

渡辺一志

ナレーション

千葉繁

老人

石立鉄男

都知事

泉谷しげる

35mm / 96分 / 2007
配給 / プログレッシブ・ピクチャーズ / ディーライツ